くだものの郷にて
朝飯抜き、簡便な昼食、間食はせず、夕餉イコール晩酌、という生活が長いから、どうしても買い出しの時にくだものに手が伸びない。しかし決して嫌いなわけではない。
昨日の帰宅途上、車で福島盆地の等高線に沿った道を走っていたら、もう桃は終わって、すっかり梨のシーズンになっている。丸々として、ザラリとした「ありの実」の姿を思い浮べたら、むしょうに食べたくなった。しかし、こんな山の中の道でも、山裾にかなりの工業団地があるせいか、往来はそこそこにある。梨の看板に気をとられて事故ってもつまらないので、昨日はあきらめて帰宅した。
明けて今日。お盆が明けてから初めての、雨にたたられなさそうな日であった。二週間放って置かれてご機嫌斜めのバイクを何とか叩き起こし、勇躍出社。
帰りはちょっと遠回りだが、あえて昨日の帰途をとる。軒並み「幸水300円」の唯中、あった、あった、ありました、200円の店! すぐさまバイクを止めて、よさそうなのを選んでゲット。車だと、なかなかそうはできない(平気でウインカーもろくに出さず、しかも交差点にアクセル全開+フルブレーキで勢い良くツン出てくる、この辺の地元のドライバーなら、平気でやるのでしょうが)。
お酒をたらふく飲ったあとは、とにかくそのまま布団に潜り込みたい……それで余計にくだものを食べようという気が起こらなくなる、と、かねて気付いていたので、今日はそれを逆手にとる作戦。すなわち、夕食の調理にかかる前に、梨の支度をしてしまうのである。これはナイス選択であった。腹八分で「もう少し!」と思う頃、ちょうど好く冷えて、すぐつまめる梨が冷蔵庫に納まっている、という寸法だ。
……そして、今宵はすっかり堪能した。
まだまだ梨のシーズンは続く。季節が移ると、梨の品種も代わる。また異なる味わいが楽しみだ。そして、梨が終われば柿である。ぴかぴかの「おつかいもの」になりそうな柿も悪くはないけれども、庭先の放ったらかしの木に生ったような、黒い筋だらけで、なりが小さいくせに種ばかり大きなやつの、秋の夕暮れの如き淡い甘さは捨てがたい。
農家の「庭先100円ショップ」探索が楽しみな季節が、またやってくる。
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