夕方の買い出し
店の入口、八百屋さんのコーナー。ニラが5〜6把入った袋に「100円」の値札が付いていた。
「よ〜っしゃ! 今日はコレ、ゲットして、今夜はカロチン補給デーだ! それにしても、5把は多すぎだよ……。そうだ! オッサンと…………」
もう、シェア出来なくなっちゃったんだった。
もっと、もっと、美味いもの、一緒に味わいたかったんだけどな。
西会津名物の「にしんの山椒漬け」。この春、初めて漬けてみた。「こんなんじゃ、話にならん!」とか云って、メタメタにこきおろしながら、ヒントを与えて欲しかった。
お互い、酒が好きだったけど、「白飯の旨さ」「納豆の美味しさ」が解っていたし、もっと追求してみたかったな。
とにかくお互い貧乏だったから、その範囲内で目一杯楽しめる工夫をしてきたけれど……。せめて一度は、
「越の寒梅、持ってきたヨォ!」
「へ〜、奇遇だ! こっちにはね…、あ、止しとこ」
「え? 何すか、気味が悪ィなぁ」
「ま……、またと云うことで」
「……あぁ、そう。じゃ、寒梅はネ、私、持って帰って一人で飲ります」
「……………ん〜〜、ん〜〜〜〜!、ちょ〜っと待った! ココだけの話だよ……いいかい、何とロマネ・コンティが……」
「え〜、嘘ばっか……………………って、……!?マジ!?」
ってな、やり取り、してみたかった、かな。
タンドーさんとは、長いこと、一緒に「半額シール」を求めて止まない「同志」ではあった。だから、今、その遺志(つまらないものだけど)を引き継いで……、
ただ、いつも、食わせてもらってたかな。今思うと、オッサンは「食わない」のではなく「食えない」人だったのだ。(念のため。「食えない人」には、文字通りの意味、世間通用の慣用句の意味、双方を包含します)。自分の喰いたいものが、実は自身には過剰で、それを誰か他人に食べさせて、それを観て喜ぶようなことを、結構やってたなぁ。
人には「犬・猫は、食卓の上で食い物を与えてはイケナイ!」なんて説教するくせに、実は自分の家のプライベート空間ではグズグズだった様で、猫たちがうれしそうに食べる様子をながめては、ニコニコしていたし。
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コメント
”つる”のお話。
かなり心に響きました。
俺などは、おっさんと居たのはほんの僅かでありましたが、そのやりとりが目に浮かびます。
気が向いた時で結構ですので、また、おっさんとのお話を書いて見てください。
かならず、墓前にご挨拶に伺います。
投稿: うこん | 2009年5月20日 (水) 22時05分
うこんさん。ご無沙汰しています。福島に来てくれた中井くんに、近況を伺いました。お元気そうで何よりです。
タンドーのおっさんは、私が学校を卒業して、実家を離れてから、たぶん、一緒にいた時間が一番長かった人ですから、思い出は尽きません。
おまけに、私の家には、オッサンから頂戴したモノだらけで・・・。食器各種、それを収める食器棚、愛用している杉箸、冷蔵庫、ガステーブル、電話機、そして今この文を打ち込んでいるパソコンのキーボードに、ディスプレイ、と・・・。
いなくなって、今日で3週間。あっという間に経ってしまったような気もするし、お別れした光景が、なんだか遥か昔のような気もするし、とても奇妙な時間感覚の中におります。
思い出話、随時、書いてみます。
投稿: 卓 | 2009年5月23日 (土) 10時07分
その気持ち、凄く分ります。
まだ俺のところに、会田さんのバイクがあり、あれからずっと手入れをし、タマに走行しております。
ずっと家に置きっ放しになっているギターや、コンプレッサー。ドアさえ開けられずに数年が過ぎたZ・・・。もう何年かが経ちましたが、まだその直後のような感覚が蘇る時も有りつらかったり、元気な時に一緒に楽しんでいる気分になったって、語りかけてみたり・・・。
丹藤さんとは、次に会ったら昔のように話そう、と、
思っていたのですが、お互いに360からは・・・。
そちらでお会いしたいですね。
投稿: うこん | 2009年5月24日 (日) 00時07分
うこんさん。重ねてのコメントありがとうございます。
ステップをひとに譲った途端に、タンドーさんがいなくなるなんて・・・。なんだか、自分の一つの時代が一気に終わっちゃったなぁ〜、という感じです。
福島も、タンドーさんの田舎、西会津の野沢も、のんびりしていて、とてもいいところです。お越しをお待ちしてます。
投稿: 卓 | 2009年5月24日 (日) 19時46分