うちの「権助」
我が家に奉公して20年。福島に来るまではユルユル仕事をしてもらってたのですが、ここ4年、主人のワタクシが「弁当持ち」をしなければならなくなったので、毎日働いてもらっています。なかなか頼りになるヤツ。
しかし、20年前のワタクシは、何を思ったか、一人暮らしにはどう見てもパワー過剰な「8合炊き」の権助くんに、ご同行願ってしまったのですよ。
沢山炊けるのはいいが、2合以上でないと、受け付けてくれません。だから、夜2合仕掛けて、朝、そのうちの4割が弁当に、残りの4割は晩飯用になり、あとの2割は冷蔵か冷凍でストックすることになるのです。
ところが、ともすると、晩飯用とストックにするつもりの「冷やご飯」が、権助の中に、24時間以上、長逗留することになります。以前はそれでも、何の支障もなかったんですけどね……。
この夏、うっかりそうしてしまい、丼にご飯を取ろうとしたら、妙にヌルヌル…。「まさか!」と思って匂いを嗅ぐと、ちょっと饐え臭い。
フツーならここであきらめて、両手を合わせて拝みながら捨てるところでしょうが……。でも、その臭いの中に、そこはかとない魅惑を感じたので、一口つまんでみたんです。
甘いんです、これが!
もう腐敗とのギリギリのセンなんだけど、これは「発酵」に違いない!
実をいうと、この夏、数回この「甘くなっちゃった」ご飯を食すハメになりました。しかしながら、ただの一度も体調に影響なし。だから、コレはやっぱ「発酵」なんでしょう。
さて、夏が過ぎて…
油断してたら、今夜もご飯を「発酵」させてしまいました。昨日今日と、ちょいと暖かかったしなぁ…。
で、今夜はコレを「雑炊」にしちゃえ、と思いつきました。味噌で煮込んで葱でも散らせば、饐え臭さもごまかせそうだし。
冷蔵庫を開けたら、昨日買ってきた、茗荷が大量に入った小袋が…。
そうだ。夏に「茗荷宿」を演ったとき、茗荷のせ冷奴は食ってたけど、茗荷の味噌汁と、茗荷飯はまだ食ったことがなかったっけ。じゃ、この雑炊に、葱はやめて、茗荷入れてみっか。味噌汁と飯と、一遍にできちゃうようなもんだもんね。
さて、煮あがって、蓋を取って、一口。
……。
わっ!
飛脚さんが、あまりの異様さに残した「茗荷入り甘酒」!
……コレが、一人用だけど、土鍋に満タンあります。もちろん残すつもりはないですが……。
……今、気合い入れて稽古してる噺、忘れませんように!
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