「くたびっちゃ〜!」
疲れ切って気力が萎えたようなときではなく、何かに懸命に取り組んで、一仕事終わったときに、思わず出る一言。
福島へ移ってきて初めて、これが「福島弁」だというのを知ったのだが、ワタクシ実は、移住前から「くたびっちゃ〜」を使ってた。
タンドーのオッサンの口癖だったから、知らず知らずのうちに感染(うつ)ってたのである。
オッサン、ほとんど「お国言葉」を感じさせない人だった。何でも、中学1年の時に会津から福島へ移って、ずいぶん「会津訛り」を揶揄されたらしい。それでむしろ「福島弁(詳しく云えば、中通り北部弁)」には、同化できなかったのじゃないか、と、邪推するのだが……。
国訛りはほとんど出さない人だったけど、どこかミョーな「口癖」は連発していた。強調に使う「オニのような〇〇」「オニのように〇〇する」とか、「ローソクが消える前の一瞬の輝き」とか、出会い頭の挨拶「どもども〜!」などなど……。結構インパクトある「口癖」だったから、ネオ・ライフ時代の仲間内では、いまでもついつい「タンドー弁」が、自然と出る。
それで「くたびっちゃ〜」も「タンドー弁」だと思ってた。だからこれが生粋の福島弁と知ったときは、ずいぶん驚いたものだ。
オッサン、実はかなり虚勢を張る人で、内面「気のおけない面々」と、そうでない人とをクッキリ分けていたところがある。
ネオ・ライフのお店でウダウダしていたら「“卓”、これからオレ、店先でお客と価格交渉するから、悪いけど奥に引っ込んで、おとなしくしててくれ!」と、かなり強い調子で云われたことがある。そのお相手は、ワタクシもよく知っている人で、おまけにワタクシ観るところ、ワタクシなんかより余程親密度が高んじゃないかと感じていた人だったから、驚いた。
ワタクシの前で「くたびっちゃ〜!」を連発したのは「オマエは気のおけないヤツなんだよ」と云う、オッサンの暗号だったのかもしれない……。
しかし「くたびっちゃ〜!」を発するときの、オッサンの表情は、どこか晴れ晴れしていたのだな。
その日その日、やれるだけのことをやり尽くして「あ〜、くたびっちゃ〜っ!」と一発、伸びをかまして、「ヨ〜シ、明日のために、呑むぞ、食うぞ〜!」と、サッと気分を切り替えて、まどろみまでのしばしを、そして、来る明日を楽しく。
毎日、こんな風に過ごしたいな。
| 固定リンク | 0
コメント