なめろう
見た目、はなはだ、グロなこれ。
「なめろう」という漁師料理。生の魚肉に味噌と、ネギ・ショウガ・シソなどの薬味を加えて、俎に広げ、包丁の背で万遍無く混ざるまで叩く。以上で出来上がり。そのままチビチビお酒の友に佳し、取れたてキュウリに添えてもまた佳し。
でも、実は今日、仕事を終えて会社を出るとき、ワタクシの摂食中枢は「チリコンカン」に占領されてた。
帰宅途上の買い出し、行きつけの酒スーパーで、「チリコンカン」故に、予定のなかった赤ワインまでゲットしたのに……。
トドメで「お肉系」を仕入れようと立ち寄った、我が家最寄りの某スーパー。
そこに……。
「飛び魚のタタキ」の格安見切り品がっ!!!!!!
迷った迷った、悩んだ悩んだ……。店内を5回は巡回した。でもね……、それでも、まだいるのよ、それが!
この堂々巡りの間、実はワタクシの耳は、天(?)からの囁きにさらされていた。
「コレは、なめろうだべ〜、やっぱ、なめろうだべ〜!」
……負けた(笑)。
このブログの常連読者様なら、この「天(?)の声」のヌシはお察しがついたでしょう。そう、まぎれもない「タンドーのオッサン」!
オッサンが福島に、ワタクシが東京にいた頃、オッサンさんざワタクシのうちへ「居候」しに来たくせに、いざワタクシが福島へ移ったら、すっかりお見限り。
福島に移住してから丸4年を迎えた初夏。
ワタクシ、その前年末にオッサンの塾から足を洗ってしまい……、旧交をあたためたくて、塾が暇な初夏、我が家へお誘いしたら……、ニコニコしてやってきた。
早速、我が行きつけの至近のスーパーへ買い出しに。幸い定番の「刺身見切り品」も豊富だったけど、オッサン曰く「コレもいいな……」と指さしたのは、サーモン刺身のサク。…確かに、高くはない。
我が家へ戻ったら、台所をオッサン、離れない。自ら指名のサーモンは、オッサン得意のカルパッチョに。そして、見切り刺身バックに入っていた鰺のタタキをベースに作ってくれたのがこの「なめろう」。
その夜、オッサンと何を話したか、どうも記憶が定かでない。恐らくその頃のお互いの不満をぶつけ合って、傷の舐め合いでもしたのだろう。
それから一年もたたないうちに、永訣になるなんて……、思いもよらなかったわけで。
だから「なめろう」は、我が家でオッサンが作ってくれた形見になっちゃった。でも恐らく、オッサン自身も「本当の“漁師のなめろう”」は食ったことないんじゃないかしらん。
土曜日の昼下がりのテレビの「旅番組」がやたらに好きで、仕事おっ放り出して見入ってたし……。
でも、本人談「日本全国津々浦々放浪した」という話も聞いたから…ひょっとすると、かもしれない…。
とりあえず。
今日は(今日も……苦笑)、オッサンに負けちゃった。でもね。
明日か明後日には、絶品のチリコンカン作ったるで! 見てろよ!
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