« 痛恨のポカ | トップページ | もし100年早く生まれていたら »

2010年7月 3日 (土)

ネタおろし

まずはちょっと自慢話(なのかな?)。

落語を再開してから1年半。おかげさまで色々なところで披露させていただいたけれど、まだ「同じ席で同じ噺」を演ってない(……ってさぁ、それほど高座数も積んでねぇべした! 先日仙台でご一緒した、山形の笑風亭間助さんの3分の1、まして、キャリア20年の米沢の立花亭小道さんには云うに及ばず……、お恥ずかしや……)。

自慢と最初に云ったけど、よく考えると、単なる「ムボー」かも知れない。そう多くはないワタクシの高座経験で、ほぼ3分の2が「ネタおろし」。
「不特定多数のお客さまの前でネタおろしは、失礼だ」と云ったプロの噺家の師匠がいらっしゃるそうだけど、確かにそういう面はあると思う。

しかし、こちとら、プロじゃない。お客さまから木戸銭いただく会にも出るけれど、なかなか人様に聞いていただく機会は……。そうそうは作れない。

自分が、お客だったら、そういう席に何を求めるか。

この頃、仲間の噺、プロの師匠方の噺を聞く機会が増えたのだが、事前のアナウンスがなくても、古典なら本題初っ端の「ひとこと」でほぼどんな演題をかけるのか、わかっちゃう。でも、楽しみはたくさんあって、仲間内なら「今日の調子(お客さま、そして演者の)」を測れるし、プロの師匠方の芸には必ずサプライズがある。袖で仲間の噺を伺うとき、客席でプロの噺家さんの芸を観るとき……。自分が高座に上がるのはもちろん楽しみ(苦痛なときもなきにしはあらず……苦笑)だけれど、客席では、袖では、いつでも“ワクワク、ワハハ”のワタクシ。だから、せめてワタクシの拙い高座では、ワハハはなくても「へ〜、こんな噺とか、演り方とかもあるのね〜!」なんて、ちらっとでも思ってもらえればいいなぁ、と(だからって「創作」とか銘打った、史実っぽいけど怪しげな噺をかけるのは、何だかなぁ)。


わざわざ「トーシロー」の噺なんぞを聞きに来ていただけるお客さまって……。どういう方々なんだろう。自分も「テルサ寄席」、お客で5年通ったから、解らなくはなさそうだ。

まず「寄席の芸が好き」。そして揃って「眼が肥えている」。

別に我々トーシローの芸なんぞ観なくたって、世の中にはCD、DVDがあふれかえっている。世の中に名人上手とうたわれた師匠の音声、映像は世の中に売るほどある。それこそカウチポテト(そゆことゆうと……歳、バレっつぉい!)で堪能できる。そっちのほうが、間違いない。演者本人が納得して売り出したものである可能性が高いし。

でも、寄席、ライブ、これって、上手いからっていいかといえば、それだけじゃない。

寄席に行くと、そして早いうちに入れると、前座さんの時間がある。
彼らは、木戸口で渡されるプログラムにも、名前さえ載ってない。でも、ちゃんと一席務める持ち場、開口一番を任される。
前座さんの初々しい噺を聞くと、ワタクシは清々しい気分になる。
三々五々、客席は埋まっているけど、誰もクスリともしない。そんな中で、汗をかきながら一所懸命に高座を務める、芸人のタマゴ。

ワタクシは、トーキョーの寄席の前座さんの噺でも、大口開けて笑っちゃうクチですが……。

いかん、いかん……。テメーで何を云いたいのかわからなくなってきた(苦笑)。

しかし、福島の、素人落語を聞きに来ていただけるお客さま……。キビシイっす! 演者よりむしろ、経験・見識豊富……。某「A演芸ホール」や、「S演芸場」に、ドバ〜ッとなだれこんできて、芸を見ながらお弁当喰って、またゾロゾロっと帰っちゃうような団体のお客さんの前で、一席演ってみたいなんて思っちゃったりするくらい……。

閑話休題。

それはわかっているけれど、ワタクシ、来る17日土曜日、ふくしま街中夢工房2階、オアシス広場で行います「勉強会」で、またまたネタおろしをするつもり。

それで一昨日はネタ探索。

先週、ワタクシが子供の頃、さんざ馴染んだ本を県立図書館で借りてきたけど、いまひとつシックリ来なかった。で、一昨日の成果はと云えば……、江戸落語の「伝説の名人」、上方落語の「時代の寵児と云われた名人」のCDを聴いて……、両師匠には申し訳ないけれど、今のワタクシにはお二方の噺、ともにどこか馴染めず……。いちばんピッタリ来たのが、現・落語協会会長の「本」。

「本」から噺の稽古を始めるの、久しぶり。しかしこれ、なかなかにつらい。まずは「写経」の如く、自分のネタ本へ丸写し。そしてこれをひたすら「音読」。さらにこれを「暗譜」するのだ。で、「暗譜」が何とかできたところが、稽古のスタートライン……。
何がきついかって、写経と音読は、通勤途上でやるわけにいかない……。きちんとそのための時間をとらないとならない。

ええい、ままよ! チャレンジ、チャレンジ! やるだけやってみよう。


で、どういうネタかって? それは17日当日のお楽しみ…。一応「季節モノ」とだけ申し上げておきましょう。

当日ダメダメだったら……、ごめんなさい!

| |

« 痛恨のポカ | トップページ | もし100年早く生まれていたら »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ネタおろし:

« 痛恨のポカ | トップページ | もし100年早く生まれていたら »