第1回仙台あまちゅあ落語コンテスト 決勝大会報告
本日8月29日(日)、ワタクシ、せんだいメディアテークにおける「第1回 仙台あまちゅあ落語コンテスト」決勝戦に、自作「目黒の蛸薬師」で参戦して参りました。
優勝・・・てなことは、残念ながらというより当然なく(笑)、「新聞記事」で客席を笑いの渦に巻き込んだ、米沢・落語長屋、立花亭小道さんが、見事栄冠を獲得されました。
あの「火焔太鼓」をなんと15分に収め、しかもオリジナル要素を加えて演じきった山形の笑風亭間助さん、「ちりとてちん」の所作が秀逸で、丁寧な噺運びが気持ちいい東北大院生の井の線亭ぽんぽこさん・・・、ワタクシは別として、みなさんたいへん素晴らしい高座でした。
小道さん、おめでとうございます! 予選・本日と観させていただいたことで、少しでも小道さんの「テンション」「テンポ」とお客様の掴み方を盗めてればいいなぁ〜。
ワタクシはと云えば、今日「蛸薬師」を演って、嬉しかったのは、お客様から「ほぉ〜!」という、感嘆の声をいただいたこと。
でも、これって・・・「楽しく笑える“落語”」という範疇からは、なんだか逸脱してますよね・・・。
しかしながら、「落語」を広く捉えれば「落とし噺」だけではないのだ、ということを、稚拙ながら示せたかな、と(威張りくさった言い草ですが・・・要するにフツーの落語を演ってもウケない、笑いが取れないがゆえの言い訳です・・・苦笑)。
特別審査員の三遊亭遊馬師匠からも「講釈ネタ?」という講評を頂戴しました。講談自体がワタクシにはいままであまり馴染みがなかったので、意識して講談ぽくしたわけではないのですが・・・。
まぁ「素人噺家」になる前、まがりなりにも3年半「講師」職をしてた影響もあり、どうも講義・説教臭さがあるよなぁ、とは自分でもわかっております。
出演の皆様、スタッフの皆様、講評を戴いた特別審査員の師匠方、応援に福島から駆けつけてくれたツイ輝・画楽多、両兄さん。そして、ご来場のお客様。楽しい一日になりました。ありがとうございます。
さて・・・今日も皆さんには話さなかった(話せなかった)けれど・・・。このブログをこれまで読んでくださってきた皆様にはご案内のことですが、ワタクシの「蛸薬師」、昨年世を去ったタンドーのオッサンに捧げた作品でもあります。ですから、必ずマクラでオッサンにこの世に一瞬帰ってきてもらうのは、どうしても外せない一幕なのでした。
しかし、まぁ、それも今日で一区切りかな。
世の中様々な「趣味」がある。そのなかで「素人落語」というのは(演劇などもそうだけど)、自分の噺を聴いて、観ていただけるお客様あってのもの。他の趣味は、自分の中だけで完結できることが多いけれど、こればっかしはお客様なしには成り立たない。
ワタクシが今「素人落語」をやれる、最大の影響を与えてくれたのがタンドーのオッサン。オッサンなくして「裁落亭とんぼ」は有り得ない。
蛸薬師(もしくはオッサンがらみのマクラ)を掛けたとき、様々な方々の評価を伺うと「あそこがもったいない」と異口同音におっしゃる。
そりゃそうだ。だれも「ワタクシの感傷的な個人的事情」なんざ聞きたい訳じゃない。面白い噺を聴きたいのだから。
「個人的事情」を話してお客様を掴むことができるのは、プロでも大ベテランの域だと改めて思う。それを散々まき散らしてきたとは汗顔の至り・・・。けれど、そうすることで、それができたことで、ワタクシは心にあいた空洞を、徐々に埋めてくることができたのだと思います。
ワタクシ自身の「癒し」のためにおつきあいいただいた沢山の方に、感謝。そして、もうそろそろオッサンの思い出(呪縛?)から脱却してもいいのかなぁ。できるかなぁ。
オッサンから生前「塾講師は芸人だ! 芸人はお客(塾なら生徒)にウケるのが一番だ!」と耳にタコができるほど説教されたし。思い出にすがることより、言いつけにかなう行動のほうが、きっとオッサンも喜んでくれる。
だから、今日を一期に「オッサンのマクラ」は暫く封印しようかなと思います。
もちろん、関係各位からご要望があれば、いつでも演りますが(笑)。
さぁ・・・間もなく麓寄席、そして出前寄席、テルサ寄席と、高座の出番の予定が詰まってる。本職も年賀状のプロジェクトにエンジンがかかってくる。合間にバイトもして「ミニカ=稽古場(笑)」のクレジットもしっかり払わなきゃ!
よ〜し! ばっちり“メリハリ”つけて、本職・バイト・素人噺家をきっちり演じ分けて、ガンガン行くゾ〜!
しかし・・・しか〜し! 新幹線で福島の駅に降り立ったら・・・何たる蒸し暑さ!
異常気象にも程がある! もう熱帯夜は勘弁! いいかげんに涼しくなってくで〜〜〜!
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コメント
落コンご苦労様でした。
もっと早くコメントしたかったのですが、
身辺雑多多事多難で遅くなってしまいました。
「講釈ネタ?」との講評は、
講談から取材したように聴こえたと
言うことで、創作した噺の完成度の高さを示して
いると思います。
また笑いの少ない噺で、
お客様を引き付けるのは、
語りの確かさがないと出来ないことです。
仲間の噺が、身内以外の皆様に
認められたということで、
とても喜んでいます。
マクラについて、余計なことを
言ってしまったようで反省しています。
ご容赦ください。
投稿: いさん | 2010年9月 1日 (水) 06時20分
いさん師匠、コメントありがとうございます。
師匠から色々アドバイスを頂いたお陰で、多くの方から評価いただける噺にすることができました。重ねましてありがとうございます。
「蛸薬師」は、自分の身の上話を外して、初めて聞くお客さまにもわかっていただけるものにして行きたいと思っております。容赦のないご批評を、今後ともぜひぜひお願い申し上げます。
投稿: 卓 | 2010年9月 2日 (木) 08時25分