袖振りあうも
先日、ワタクシを危機から救ってくれた、翔(ツバサ)くん、高校3年生。
この不景気氷河期の中、就職内定をもらった。あらためて、おめでとう。
そのエピソードが、なかなかに面白い。
彼が就職面接に指定された日は、このお彼岸の中日。福島県下、ひとしなみに大荒れの天候だった。
彼は、面接時刻に丁度間に合うのより一本早い阿武急電車で、隣県・角田の面接先へ向かったのだが……。梁川で電車が停まってしまい、運転再開のメドが立たないというアナウンスが。
途方にくれていると、同席の人が「どこまで行くの?」と尋ねてきた。事情を話すと「へー、それは奇遇。オレ、そこの社員なんだ。しかし、困ったね……。ところで、オレ別に面接官じゃないけど、何故、ウチの会社に?」なんて話でひとしきり盛り上がる。
しかし、空模様はますますひどくなる。電車は相変わらず動きそうにない。
かの社員さんは、同じ車中に同僚が何人かいるのを見付け、タクシーで社へ向かうことに。翔くん「あ〜あ、オレはどうしよう……」と思っていたら、
「せっかくだからさ、キミも一緒に乗りな!」
と、有り難い一声。
おかげで彼は無事面接時刻に滑り込み、見事内定ゲットした。
その電車に乗り合わせていなかったら、翔くんは、進路がまだ決まっていなかっただろう。まさに出会いの「縁」である。
彼が内定をもらった会社の名前を、ワタクシは知っていた。旧車乗りなら誰でも知っている、国産高性能キャブレターのメーカー「K社」。
普段クルマに乗っていて、キャブレターなんてのは、意識にも上らない地味〜なパーツ。しかし、コレがなければエンジンは動かない。とても大事な要素。
いざ入ってみないとわからないけれど「スタッフでいることが大好き」な、翔くんに合ったところのような気がする。
色々厳しいことが多いかもしれないけれど、活躍を期待します。
自らを振り返れば……。様々な出会いの「ご縁」のおかげで、今、毎日を楽しく(ラクではないけど……)過ごさせてもらっている。
学校を卒業し、同時に実家を出てから、ここ福島の住まいが一番長くなり、気が付けば、今の職場も、この秋でワタクシの勤続最長記録となった。
そして「縁」とは、出会いだけでなく、別れをも含むことを、ワタクシを福島へ拉致った張本人、タンドーのおっさんに教えてもらった……。たとえ、永遠の別れをひとつ迎えたとしても、それで「縁」は切れてしまうわけではなく、様々に広がり、続いてゆくということも。
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