虎の穴
当ブログ、トップページでお知らせしているように、7月から、いさん師匠主宰の「落語を楽しむ会」が始まる。
われらが「ふくしま素人落語の会」、メンバーが増えて層が厚くなって来たのはいいけれど、そうなると……、一席30分を超えるような“大根多”が、なかなか掛けにくい。でも、落語をだんだんわかってくると、アマチュアとはいえ、否、むしろアマチュアだからこそ、長口舌を揮ってみたくなる。
じゃあ、そういう専門の機会を作っちゃいましょう、と、いさん師匠、一念発起なさって、労をとってくださった。
いざ、蓋をあけてみたら……。やっぱり皆さん思いは同じとみえて、われもわれもと……。
当初ワタクシ、既演目で、しかもそれほど重くない噺でエントリーさせていただいた。だから、他の皆さんの意気にタジタジ……。
「やっぱ、演ったことないのにするかなぁ……」と思いながら、その時偶々手もとに借りてきていた参考書をめくる。すると、とある噺が目に留まった。「よし、それじゃ、こっちにするべ!」と、方向転換。
7月の会も、目一杯エントリーがあるなら……「若い世代の皆さんにいろんな責任を引き継いでいただきたい」(笑)とばかりに、居座ることなく出演辞退を申し出た。
さて……、資料探しっと!
ワタクシの強い味方は「市立図書館ネットワーク」。もちろん総てが揃うというわけではないが、参考図書や音源は、かなり充実している。
お、飯坂に、G師匠のCDあるじゃん! 勤め帰りにフルーツライン飛ばして、借り出してこようっと!
この正月に演った「二番煎じ」。G師の噺が秀逸らしいのだけど、残念ながら当市に所蔵なし。ただ、故S師の素晴らしい録音を、すゞめ姐さんが貸してくださったうえに、手持ちの故B師、「市ネットワーク」で捜し出した六代R師、八代K師と、四者四様をじっくり聴けたから、G師のCDを購入してまで……とは、考えが及ばなかった。
♪こ〜んぴ〜ら舟〜々〜
約四半世紀のブランクはやっぱり大きい……。G師の噺を真剣に聞いたのは、たぶんこれが初めてだ。聞きながら、G師の元門下だったY師にも思いを致したり……。
ただ、最初の参考書とG師の噺に共通する、発端部分が、ワタクシどうも今ひとつ好きになれない。どこか後味がよろしくない。もっとノーテンキな始まりにできないかな……。
この日曜日の午前中。多少時間があったので、我が家最寄りの文字摺学習センターで、I師のCDを借りてきた。就寝間際に掛けてみる。
いやはや、これが!
同じ演目、しかも、G師・I師、同門なのに、まったく別物の噺じゃないか! 滑稽味はG師の噺の方が勝っているけれど、I師の噺には、長講・大根多の風格がある。
おいおいおいおい、なんだい、こりゃァ!?
気になってしょうがないから、週明け早速、仕事の合間にインターネットの海をさらってみて……驚いた。目眩がした……。
ワタクシが演ろうと思っていたのは、六代目圓生師が、もったいなくも天覧に上せた演目だって……!
そして、G師の演りかたは“柳派”の、I師は“三遊派”のものだということ……。
同じ噺に複数の演目名が付けられていたり、似たような噺でも舞台設定の違いで演目名が変わったりするのは、よくあるけれど……、同じ演目名で、舞台設定から、登場人物から、果てはサゲ、そしてサゲの雰囲気まで総て異なるバージョンがある噺なんて、コレくらいじゃないかなぁ……。
しかし、口から、いや……ケータイメールのやりとりだったから、指からか? 出任せで、ものを云うべきでは、ござんせん(^^;)。
とりあえず、いさん師匠から四月余り、猶予をいただいたので(“三遊派”なら暮れの噺になるし……)、さり気なく夜逃げの支度でも整えつつ、向こうから僥倖が飛び込んでくるのを、待つとしますか(苦笑)。
そして、来年秋、大名跡を襲名するH師のCDも出てる。御祝儀に買うとしようかな。
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