酒肴奇譚
我が家の本棚には、先日の「北杜夫」コーナーもあったけれど「小泉武夫」コーナーもあった。今は震災で崩れて以来、瓦礫状態になって、そのままだけど……。
その中から「酒肴奇譚」を引っ張り出して、久々に賞味した。
ワタクシ、小泉先生が教授をしていた農大卒。但し、学科が違ったから、在学中は小泉先生の存在を全く知らなかった。関わりがあったのは、サークルの先輩・タケムラさんが、飲み会に「研究室で作った酒だ! 呑み比べてみよ!」と云って“リゾープス酒(麹カビで醸した酒)”と“アスペルギルス酒(蜘蛛の巣カビで醸した酒)”を持ってきて……。その後、当時まだ地べたを走ってた小田急線の踏切で「匍伏前進!」をタケムラさんがやって、ワタクシもアホだから真似して、肘を血だらけにしたこと……ぐらい(苦笑)。
これ、多分、以前にも同じことを書いているんだけど、ワタクシが小泉先生の著作に出会ったのは、大学卒業後、しばらく経ってからである。以来「農大OB」のワタクシのどこかに、この「小泉武夫」という先生の名前が刻み込まれた。
まさか、そののち十数年して、小泉先生の出身県、フクシマに暮らすことになろうとは。
改めて読んでみると……ワタクシ、ずいぶん、小泉先生の影響を受けているなぁ、と。
「酒肴奇譚」巻末に、この本の成立の次第を先生ご本人が述べてらっしゃるのだが……幼少の頃に出会った、旅回りの講釈師の先生に、影響を受けたとのことである。おそらくそこから出発しているのだろう、小泉先生の語り口には、どこか寄席芸の雰囲気がある。
明日は、落語と、たぶん「みどりの窓口の担当が切符を箱から出してくれたら」幻の美味しい魚を楽しめる会。
「どうして、農大なんかに行って、それで後々全く関係ない仕事に就いて、またまたなにゆえ、フクシマなんかへ来ちゃったんだべ」と、何度、思ったことか……。でも、これが、運、これが、運命なのかもね。
このところ、ちょっと胃が痛かったりするけど、毎日を、楽しく美味しく、暮らしたいなぁ。
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