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2012年4月30日 (月)

国見大枝こどもまつり

一昨年・昨年に続き、落語を演りに伺いました。

根多帳

 平三「転失気」
 小笑 奇術
 とんぼ「つる(阿津賀志山バージョン)」

小学生がメインのお客さま。“落語”はなかなか厳しいですけど、サラ口の平三くん、豊かな表情使いでしっかり客席を掴んでました。さすが!
一番受けてた小笑兄さん。今回は奇術一本に絞っていただいて、大正解だったと思います……いや、あくまでも「今回は」ですよ。
さてワタクシの出番。予想通り客数が半分くらいに……。それを哀れんでか、大人のスタッフの皆様方が集まってくださるのも、例年のパターン。でも今回、最前列に座った子たち、平三くんからワタクシまで、ずっと熱心に聴いていてくれていました。こちらも応えて「つる」熱演。
平三くんが恐らく「転失気」を持ってくると大方予想がついたけど、今までここで演ってない持ち根多で、しかも「小学生にもわかる」ものは、これしかない。“知ったかぶり”かぶりだけど、仕方ない。結果……まあまあ、オーライかな。
以前にも経験があるけれど「つる」を子供さんに演ると“後を引く”。終演後、みんな「ツ〜ッ、ル〜ッ!」と叫びながら走り回るのだ(笑)。今日の後引きの賑やかだったこと! 演った甲斐があるというものです。

また次回、招んでいただけるとうれしいなぁ。でも……次には「新ネタ」仕込まないとなぁ……。

ところで、本当は、昨年ここで「つる」を演るつもりでいたのだけど……、できなかったのです。

震災の影響で。

もとの噺だと、老人は“浜辺”に立っていて、その向こうから首長鳥が飛んでくる。
大津波の記憶も生々しく、ワタクシ自身、その3週間前に、南三陸・志津川の惨状を目のあたりにしたばかり。“つる”の“ツ”と“津波”の“ツ”が通じるし……。おまけに“彼方から放射能が飛んでくる”という連想も浮かび(トップニュースは連日、原発の状況だった)……。「大好きな“つる”だけど、これは封印しないとならないか……」と当時は思っておりました。

それを打ち破ってくれたのは、昨年5月4日に共演させていただいた、東北学院大落研の、かすみさん。ワタクシも模索していた「山バージョン」を、見事に演じて見せてくれたのです。目から鱗、大感激。かすみさんのお許しのもと「つる」の、ワタクシなりの「山バージョン」は再び“鉄板根多”に生まれ変わったのであります。

参考までに、ワタクシの「山バージョン・つる」は、こんなセリフになってます。

「昔、一人の老人が田んぼの畔(あぜ)で、ぼんやり景色を眺めていると、遥か北の空から雄の首長鳥が一羽、ツ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと飛んできて、○○山(ここに、任意の山の名前を入れる)の松へ……」


これは、パブリックドメインにします(ってほどのものでもないけど……笑)。よろしかったら会場近くの山の名前を入れて、お使いくださいな。

しかし、今夜はまた、揺れるなぁ……。しかも、今ラジオをつけたら、今日(……ん、もう昨日か)、福島市の最高気温、31.8℃だったって! どうなってんの!?

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2012年4月27日 (金)

鉄道ファン誌・1977 年7月号大扉

鉄道ファン誌・1977<br />
 年7月号大扉
鉄道少年のワタクシが、初めて手に入れた、鉄道雑誌。7月号ということは、5月21日発売だ。ワタクシ弱冠、小学校5年生。

特集にとりあげられている国鉄80系電車というのは、我が国日本の「電車」のイメージを大幅に変えた立役者。電車はそれまで、都市近郊の近距離輸送が専門だったのだけれど、80系はそんな既成概念を打ち破った。
敗戦からわずか4年で、こういうものを作り上げ……しかも、この80系電車デビューのたった15年後、昭和39年には……、なんと、東海道新幹線が開業してしまうのだ。

すごいなぁ!

どん底から4年、さらにそれから15年……。「高度成長時代」、半端じゃないぜ。

思い起こせば、自分自身……「どん底」の鬱々とした日々をスタートに、4年近くかけて、いま口に糊する基礎技術を、自己流で修得し……気が付けば、それからおおよそ15年。


進歩なさすぎ(苦笑)。


ちなみに、この本を手にしたのと、落語ドップリになったのは、ほぼ同時だ。


そしてこの写真に写っている電車が渡っている鉄橋は、その数年後に豪雨で流失した。
夜行の大垣行きの車窓に食い付いて、プッツリ途絶えた大井川鉄橋を、眺めたことを思い出す。

だから今日も「時そば」の、大好きなセリフで締めよう。

「悪いあとはいい! 世の中は回り持ちだ」

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2012年4月26日 (木)

窓際のトンボちゃん

今週のこのブログの記事で、多くの方にご心配をかけておりますこと、まずは深くお詫びいたします。

努めて脳天気な記事にすることを、ずっと目指してきたこのブログに……突然、思わせぶりで回りくどい、しかも鬱々たる記事を立て続けに書いてしまいましたからね……。

ワタクシだって、悩むこともあるんです(苦笑)。

強がりはさておき……こんなワタクシのささやかなSOSを、受けとめてくださる方がある……。有り難い、有り難い。

今日“マー兄ちゃん”が、ワタクシを誘い出してくださいました。落語の大好きな大将と女将さんのお店に。

場の流れで、大将と女将さん、兄ちゃんとワタクシの4人で「志ん朝師の“二番煎じ”をじっくり楽しむ鑑賞会」になりました。

おかげさまで、明日へ希望をつなぐことができます。“マー兄ちゃん”、ありがとう。

愚痴るワタクシに、兄ちゃんが「こんな時、オヤブンなら何と言ってくれる?」と訊く。
「オヤブンはね“それはオレの立ち入るべきところじゃない、オマエが自分で判断しろ”と、きっと云うなぁ」と、返事をしたけれど。

でも、後から、オヤブンが常々口にしていた言葉を思い出す。

「敵が何人いたってかまいやしない。俺にとって大切なのは“仲間”がどれだけいるか、ってことだ!」

ワタクシの“仲間”でいてくださる皆様……。心から感謝申し上げます。
ワタクシ、できる限り、ここ福島をベースに精一杯、生き抜く所存でおりますから……、どうか、今後とも、よろしくお頼み申します。

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2012年4月25日 (水)

ハムレット

To be,or not to be……That is the question.

居座る余地はありそうだとは、思われる。でも、それでいいかといえば、かの「安全神話」と同じで、いつ何時“想定外”の事態に陥らないとは限らない。

今までコツコツ積み上げてきたものを、今いるところでじっくり活かすべきか……それとも、スッパリと転身して「復興バブル」の機会に乗っかって、これまでに膨れ上がった負債を、一気にサッパリ解消するべきか……。

養わなけりゃならない“女房子供”がありゃしないんだから、オマエさんなんざ、大いに気楽なものじゃないかと、お叱りを被るのも、ごもっともだけど。

こういう言い訳はとても嫌だが……歳を重ねたせいかなぁ、闘うのも却って面倒だし……。
成り行きに任せて、底の底まで、落ちてみますかね?

悪いあとはいい。世の中は、回り持ちだ!

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柳亭市馬師「長屋の花見」

だいぶ前にCDを借りてきていたのだが、ようやくさっき、かけてみた。

市馬師匠の「長花」、初めて聴いたのだけど……不思議だなぁ、初めて聴いた気がしない。馴染みの噺家さんの馴染みの噺を聴いているような感じ。

考えてみると……去年の夏頃から、市馬師匠の「御神酒徳利」を、何十回聴いたことか。

市馬師匠、声と、リズムが、素晴らしく気持ちいい。音楽に「声楽」というジャンルがあるけれど、市馬師匠は、恐らく「声楽を落語でやる」古今東西で随一のアーティストだ。

聴いていて、何とも心地よい。

現在活躍中の噺家さんで、数少ないワタクシの憧れの師匠のうちの、お一人だ。
ぜひともライブで、できれば定席の寄席で、そのお姿を拝見したいなぁ!

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2012年4月22日 (日)

会津の三泣き

風来坊が、会津に行く。

まず、その保守的、排他的な面に遭遇して、泣きを見る。
それを我慢して、居続けていると、顔馴染みになってくれた会津の人々の情けが身に染みる。
そしていざ、会津を離れることになると……離れ辛さに、涙する。

これを称して「会津三泣き」と、云うそうな。

ワタクシ……、根っからの会津人、タンドーオヤジにヘイコラ福島へ拉致られて、もうすぐ8年。

三泣きのオシマイのひとつだけは、何としても、泣きたくはない。

んだけどなぁ(T_T)。

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お弁当

某所で、お昼に、お弁当をいただいた……正確には、今日の用事が終わった時点でお弁当をもらい、それで「夕食なう」。

すでに半分以上食べちゃったから、写真は載せられないけど……。

お品書き

一、揚げ肉団子のあんかけ
一、お煮染め(薩摩揚げ、ニンジン、タケノコ、コンニャク他)
一、ポテトサラダ(“既製品”ぽいけど、これがなかなか美味いのだ……笑)
一、エビフライ
一、やたら衣の厚い、穴子の天ぷら
一、レタス
(以上のコーナーに、醤油の小袋ひとつ。フライにかけるソースは……と探したけれど、入ってなかった。でも両方入ってたら、食べ終わった弁当箱が、どうみても余った醤油とソースまみれになっちゃう。一つに絞って正解! ただし、「アタシは天ぷらもソースだよ」という人もいなくもないけど、日本人だもの、醤油派が多数だと思う)
一、ゼンマイとニンジンと薩摩揚げの煮浸し
一、鮭の西京漬け
一、カリカリ小梅
一、黒胡麻かけご飯
一、お香々(オレンジ色の沢庵2切れ)

以上。

さっき蓋をあけて一瞥した瞬間に、直感した。
「これ……安くないぞ!」(笑)

恐らく地元の仕出し屋さんの作品

さり気なく、高級なものや、季節を思わせるものをちりばめて、しかもボリュームももたせて若いメンバーも満足させる……

「う〜む……、いい仕事、してますなぁ」

売値で750〜800円相当と見た!

ご馳走様です。

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2012年4月21日 (土)

AOZ寄席「新学期」

根多帳

 ツイ輝「狸の札」
 小笑 漫談とマジック
 とんぼ「家見舞」
 すゞめ「穴子でからぬけ」
 平三「井戸の茶碗」  
30名様ほどの御来場だったでしょう。大入叶。

AOZ寄席、着実に「笑い上手」なお客さまが増えてます。有り難いことで……。演者の我々が“しっかり稽古を積んでくれば”ちゃんと受けとめてくださる、“そうでないとき”には相応の反応を見せてくださる、優しくて、そして厳しいお客さまばかり。

今夜の自己評価は……まぁ、合格か。
今日の出演メンバーになっていることを知ったのが、今月9日……二週間近くはあるけれど、ネタ卸しには時間が足りない(2月の失態が、どうしても、アタマをよぎる……)。


じゃあ、持ち根多、ということになるのだが。ここで“ご常連のお客さま”の顔が脳裏に浮かぶ。しばらく演ってない噺、何だったっけ……。
今年になってから「長屋の花見」ばっかりだったからなぁ。それ以外なら、いいだろう。
演目記録を引っ繰り返して決めたのが「家見舞」。

はしなくも「新学期」「新生活」に絡むし。

ただ……稽古しながら、マクラが我ながらちっともおもしろくできなくて、かなり凹み……、一昨日にはやっぱり別の噺にしようかと考えたものの、どこかシックリ来ず……。「ままよ、本題で突っ走れ!」

でもまぁ今回は「結果オーライ」だったかな。オチへの運びも少し変えたし。しかもお手本が「五代目小さん」とは、余程聞き込んでいなければ、わかるかな、わかんねぇだろうなぁ(笑)。

おもしろくないマクラも、お客さまの中に、又隣の町内の方がいらして、3・11のワタクシのあれこれ話を、受けとめてくださって。

有り難い、有り難い。去る日曜日に、すゞめ姐さんがマクラでしゃべった「地産地消」、そのものだもんね。

さて、来月。
来月は、AOZで、根多卸しします! 福島生活丸8年、うつくしま芸人会とふくしま素人落語の会、多くの高座に触れてきたけど、不思議とまだ聞いたことのない、「古典」の定番中の定番演目を。


今日の終演後、平三くんにだけは、ちょっと洩らしたけどね。

鋭意、仕込み中! しかも10分根多(何故……笑)。請う、ご期待!

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2012年4月20日 (金)

アボカド

アボカド
少し前にも書いたけど、この頃、わが食卓“アボカド”に、しばしばご登場願っている。

かつてテレビの「料理の鉄人」でよく視たように、中の種を支えにして、縦にクルリと包丁を入れ、キュッとひねって二つに割り、種子を除く。この大きな種子がまた、栗みたいでとても美味そうなのだが……、調べたら、どうやら毒があるので食べないほうがいいらしい……いつも泣く泣く生ゴミに……(でも、食べられるという情報もなくはない。いつの日か、試してみっぺ)。

「鉄人」だと、果肉をミキサーに放り込んだり色々してたけど、ワタクシはそんな、面倒なことはしない。スプーンとワサビ醤油だけを添えて、そのまま食卓へ直行。これがなかなか素敵な酒の肴になるのね……、当然「日本酒」の。

昨日も、行きつけのスーパーで「お値打ち品・2ケで80円」のアボカド発見! 迷わず、ご同行願う。

いつものように包丁でクリクリっと割ったら……、おやおや、今日のアボカドの種子ときたら……あたかも、あのビリケンさんの頭みたいに、見事にトンがっているではあ〜りませんか! これは、ちょいと、珍しい。

昨夜は何の気なしに、いつもの如く「もったいないなぁ」と思いながら、ゴミ箱に放り込んでしまったんだけど……。

こう書いたら、なんだか、かわいそうになり、ゴミ箱の底から拾いだしてみたりなんかして……きれいに洗って、小さな器に移して、水を少量さしてやりました。

明日から、ここ、「アボカド水栽培の阿呆観道日記」に、なったりして(笑)。

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2012年4月15日 (日)

こりゃ、いい気持ちですよ

今日は、市内・上条町会さん「第4回・ミニ文化祭&花見会」にお招きいただきました。


根多帳

 ツイ輝「やかんなめ」
 すゞめ「謎々」
 とんぼ「長屋の花見」

大入叶!

ツイ輝兄さんの開口の通り「上条の皆さんは、世界で一番だゼ!」「イエ〜ィ!」。
ツイ輝兄さんが促さない前に、自然に「イエ〜ィ!」と応えてくださる、ノリノリのお客さま! われわれ三人、とても楽しんで高座をつとめられました。ありがとう存じます。

落語の後の「花見の宴」でも、たっぷりご馳走になり、ワタクシ例に漏れず、ヘベのレケレケに……諸々お世話を掛けまして、恐縮至極でございます……。
これに懲りずに、またお招きいただけたら、幸いです。
ちなみに再来月、6月28日木曜日、午後2時から、文知摺学習センターにて寄席がありますので、ぜひお運びくださいませ。

さてさて。
一月ほど前、押入にしまったはずの「長屋の花見」を引っ張り出したわけですが。今日の会の趣旨でもあったし。
またも好評をいただいて……。と、なると……

この、ガチな「季節の噺」を、敢えて……、敢えて季節外れに演ってみるってぇのは……、やっぱり相当、冒険?


……“9月”とか(笑)。

10分に収めるだけなら、すぐにできるんだけど、なぁ……。

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2012年4月 5日 (木)

思えば遠くへ来たもんだ

今日、うちのポストに、大家さんからの「契約更改書類」が届いていた。

“大家さん”と云ったけど、落語に描かれるような、多くは人のいい世話焼きな、そしていくらかは“因業”な、でも顔の見えるような一個人のオジサンでは、ない。
寿限無か、たらちねか、どちらにしろ一発ではとても名前を覚えられない“財団法人”。しいていえば、どちらも「オッサンクサイ」のが、共通点かな……。

大家さんと交わしている「店請け証文(契約書)」上、ワタクシは、2年間という期限付きの店子(定期借家人)だ。だからといって、2年で無条件に放り出されるわけではない。お互いの都合と事情が合うならば「再契約」して、ここの店子で居続けることができる。

今日届いた“店請け証文”を、大家さんと取り交わすと、もう5度目の契約になる。ということは、次回の契約満了を迎えると、ワタクシの福島暮らし、満10年……。

♪思〜えば〜 遠〜くへ〜 来た〜も〜ん〜だ〜♪

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2012年4月 4日 (水)

いちめんのなのはな

これ、山村暮鳥の詩ではなかったかと記憶している。

しかし、別にここで暮鳥を語るつもりじゃない(苦笑)。

春野菜も数あれど「菜の花」が好きだ。一人暮らしを始めた頃、スーパーの惣菜コーナーに売られている「菜の花の辛子和え」に、ハマった。当時、お得意先のスーパーで昼飯を物色するとき、これを見つけると必ずカゴにゲットしたものだ。

後に少し料理の腕を上げ、野菜コーナーの菜の花を買って、自分でも作るようになった。軽く茹でて、胡麻ダレに辛子を加えて和える。
春到来の喜びを告げ、しかも春先にしか味わえない、一品だ。

福島でも、あのむっちり詰まった菜の花は売られているけれど……かなり、お高い。その代わり、安く手に入るのは、トウの立っちゃった菜っ葉というか、未成熟の菜の花というか……なんとも中途半端な代物。

でもね、これが捨てたもんじゃないのよ。

今日の晩飯、野菜は何にしようかな〜、と、狭からぬ行きつけのスーパーの売場3周目。地元野菜コーナーに、件の“未成熟菜の花”発見。思い立って買って帰って、味噌汁に仕立ててみる。

ダシが煮立ったところに、油揚と、根元の硬そうなところを放り込み、しばらく煮て、味噌を溶いたところで葉っぱを投入。

これがね!

硬い茎がウソみたいにトロトロになり、時間差攻撃で投入した葉っぱの緑も鮮やかな、すばらしい、おみおつけ!

福島の野菜、万歳!

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2012年4月 3日 (火)

♪あ〜 那須野が原に〜♪

黒磯といえば、忘れもしない、昭和61年8月4日の夜。

東日本学生サイクリング連盟(略称・ESCA)の、明治大学ワーゲンレンカー部主管「那須ラリー」打ち上げの当日。

巨大な台風がその晩、関東平野から福島県中通り、そして宮城県を通過した…。


ESCAラリーの打ち上げとなれば、キャンプファイヤーを囲んでの大宴会なのだが……豪雨と強風の中、そんなバカ騒ぎができるはずもなく、それまでの3日間をともに過ごした班ごとに、キャンプ場の常設テントに籠もって、ひそやかな分散開催となった。
たった3日でも、同じ釜の飯を喰った仲。和気靄々と盛り上がり、ひとつテントに男女の別なく、寝袋並べて、暴風大雨の音を子守歌に、寝入った……。

翌朝。昨夜の大荒れの天候がウソのような、清々しい穏やかな青空。解散前の最後の朝食をみんなで作って食べて、黒磯駅へ下る。

大概の参加者は、そこで別れて東京への帰途についた。ワタクシ含む数名は、ここから「青春18きっぷ」利用で、北海道へ向かおうと計画していたのだが……。
東京方面行き電車は走っていたけれど、北へ向かう列車はまったく運行のメドが立たない、という……。万事休す!

仕方がないから、北海道向けメンバーは、黒磯駅構内の、使われていない貨物ホームにテントを張って、一夜を過ごす。顔触れは変わったものの、ほとんど昨夜の打ち上げの続きみたいなものだ。

烏カァで夜が明けて……「仙台行き」が出ると聞く。あわてて支度して、電車の座席に落ち着いたまではよかったのだが。

停まる駅毎に、やけに停車時間が長い。
黒磯を発車したのが6時だから、通常なら8時頃福島、9時半仙台。当初予定してた平泉の観光はあきらめなけりゃならないけど、夜行の“連絡船”には間に合うだろうと思ったところが、甘かった……。
福島着、ほぼ正午! 福島駅で1時間ほど停まっていたかな……。ただ、いつ発車するかさっぱり読めないから下手に車外に出てうろつけない。座席から、ひたすら現・エスパルの灰色の壁や、時計と睨めっこしてたのだろう。駅の片隅に出たり入ったりしていたはずの、当時はまだリンゴ色をまとっていた飯坂電車を見た記憶が、これっぱかりもない。駅弁を買って食べたはずだが、その覚えも全くない……。

そして……仙台に辿り着いたのが……、夕方5時!

一ノ関行き電車に乗り換えて、車窓から観た景色は忘れられない。
「ああ、これが松島か。ああ松島や松島や」と風流に感じて、目を凝らしたら……、水面から顔を出しているのは島なんかじゃなく、民家の屋根だった……。

辺り一面の“海”に、頼りなげに一筋だけ、細く残った盛り土の線路を、そろりそろりと進む電車……。

結局その晩は、盛岡で“駅寝”した。

福島市も浸水に見舞われ、梁川町が大きな被害を受け、仙台平野が“松島”と化した、8・5水害。ワタクシは一介の旅人にすぎなかったけれど、リアルタイムで経験したのだ……。

タンドーオヤブンと知り合う、1年半ほど以前のこと。
その時、一緒に北海道へ渡ったうちの一人、Mが、この世を去って、もう4年。

たまに仙台へ向かうとき、桑折〜国見へかけて、右側に展開する段丘、後方に広がる信達平野の景色とぽっかり浮かぶ信夫山の姿を目にすると、いつも胸がじんわり熱くなり……、8・5当日のこと、そして、Mやタンドーオヤブンの面影を思い出すのだ。

昨日一日中、♪なす、なす、那須野が原音頭♪のメロディーに加え、自分の思い出が、ずっと頭の中でぐるぐる回ってて、我ながら使い物になってなかった……。

え? 「それって、ただの二日酔いじゃないの」ってか?


肯定も否定もしないでおきましょうかね(苦笑)。

今夜、窓の外は“爆弾低気圧”の暴風が吹き荒れている。

大きな災害になりませんように……。

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2012年4月 2日 (月)

脱・テレビ

今日から、福島も全国に1年遅れて「テレビ完全地デジ」になった。

我が家は受信機のデジタル化をしてない。だからテレビが全く映らないことになった。

とは云っても、今までもウチではほとんどテレビを付けたことがないから、毎日の生活に困るようなことはない。

でも、やっぱりテレビ見ておいたほうがいいのかな?と思うのは「噺のマクラ(ことによると本題)のヒントになるんだろうな」そしてそれが「お客さまの共感も得やすいだろうな」という点、くらい。

そもそもワタクシの中に、テレビへの指向というか嗜好というかが、稀薄なんだろう。

二十ウン年前に一人暮らしをはじめた、平成元年の頃(おいおい、年代をぼかした意味は?)。
ワタクシが一人暮らしの「三種ならぬ五種の神器」と思って揃えたのは……

1。ガステーブル
2。炊飯器
3。洗濯機
4。目覚ましラジオ
5。冷蔵庫

だった。しかも5番・冷蔵庫は、父が独身時代に使ってて、当時実家で電源を入れずに「乾物棚」になっていたのをガメたから、その時新たに買ったのは4つ。驚くなかれ、その電気冷蔵庫とガステーブル以外の全て今なお現役!(ガスは地域や住む家によってかわるから……)

気が付いたかな? テレビと電話が入ってない。

ケータイなんぞ庶民にはとても手の届かなかった頃(当時、要保証金30万円!)。しかし、旧友との連絡に困ったり、緊急連絡が実家から「電報」で来た(笑)りしたので、初ボーナスを張り込んで「有線」を引いた(その時買った“留守番電話機”は、もちろんココにある)。

テレビは……会社で「ウチにはテレビがないんだよ〜」と散々云ってたら、一年先輩のイシヅカさんが見兼ねたのか「オマエにやるよ」と、くださった。それももちろんここにある。哀しいことに、タダの赤いハコと化して……。

だから「脱テレビ」なんて、大げさなタイトルにしたけれど、そもそもワタクシにとっては至ってフツーの状態だし、アマチュア落語3年間、ひいては福島在住8年間、何ら不足を感じて来なかったんだから、当面、この調子でいいや。

おいおい、またまた、揺れるじゃん! さっき町内会の役員会で「震度5弱で出動!」って再確認したばっかりなのに……。
着のみ着のまま表へ出たら、ワタクシのご贔屓にして、わが町内防災会長カツヤさん、お出まし。

「大丈夫そうだね」
「そうですね」
「……あ“卓”、渡したいものがあるんだよ」

カツヤさんが持って来てくれたのは、昨平成23年度の福島県文学賞、エッセイ・ノンフィクション部門の準賞に輝いた(大賞の該当者が無しだったから、事実上一番だ)、カツヤさんの作品「震災記 3・11」が掲載されている「県文学集・59」。

震災発生から一週間、カツヤさんとともに過ごした一キャラクターとして、ワタクシも描かれている由。


楽しみ、楽しみ。
こんな楽しみがあるから、テレビを視てる暇がない(笑)。

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