昨日今日と二日間、それぞれ二席のスケジュール。
その1「平野地区・豊かな高齢者のつどい」
根多帳
ツイ輝「やかんなめ(紅葉バージョン)」
いさん「品川心中」
小笑 漫談
とんぼ「時そば」
お囃子 小染社中
70名ほどの幸齢者の方々が集まってくださいました。
司会のかたは、ラジオの寄席番組に馴染んで来られたのか、我々が高座にあがるときにはひとりひとりの演者紹介、下がるときにも改めてアナウンスをしてくださる……それがまたピタリとキマっていて、某国営放送の「真打競演」公開録音みたい。
根っからのラジオっ子のワタクシにとっては、こそばゆいけど気持ち良くて、新鮮だけど懐かしい……そんな進行でした。
以下しばらくは「自慢話」だから、読み飛ばしちゃってくださいな……。
午前中の落語会で、クサい「時そば」、コレ鉄板!
会場に着いていきなり「アンタ、トリね!」と告げられたときはさすがに戸惑ったけど……この席のメンバーと演目からみると大正解! 美味い蕎麦と不味い蕎麦の喰いわけ仕草が、ウケたのウケないのって!
この時季、この客層、この時間帯の「時そば」……、ずるい、ずるすぎる(笑)。
我ながら今回の高座は「合格点!」としよう。
ただ、失敗なきにしもあらず……。
二軒目のそば屋の親父が、サゲのところで「ヘイ、四つで」と云いながら、右手を上げて“四”を出しちゃった。
そんなことしたら、せっかく両手で受けてた銭コを、みんな地面にバラまいちゃうじゃん!
なぜそんなシクジリをしたかと云えば……午後出した演目につながるのです……。
着物を畳むのもソコソコに、一路「AOZ」へ。グズグズしてたら、いさん師匠はとっくに向かわれたとのこと……。
息せき切ってAOZ到着。米沢の小道さん・三吉兄さんご両所、既にご着到。高座の設営をして、楽屋なる茶室にて、平野で頂戴したお弁当を開く……。
第8回・らくごのくに
根多帳
いさん「将棋の殿様」
三吉「祇園会」
小道「千早振る」
とんぼ「ゴニン逮捕」
吉例に従い“大入叶”と書いておきましょう(笑)。
いさん師匠は、本題の「将棋」だけでなく、マクラで「蕎麦の殿様」も。
本題の三太夫さんがいい。あの腹の据わりようは、ワタクシのような風来坊には実感がないから、どう転んでも出せません。親の愛という複雑な感情の含まれる、いさん師匠ならではの噺でした。
三吉兄さん「祇園会」。
江戸の祭囃子の威勢のいいこと! なまじっかの稽古で、ああはいきません。差し出がましいかもしれませんが、拍手を送らせていただきました。直前まで「演目変えようかな……」と悩んでいらしたとは、とても信じられない。「三吉兄さん、この噺が大好きなんだなぁ!」とビンビン伝わってくる一席でした。不思議とハマる京ことば・上方ことばも、米沢・山形ののDNA?
小道さん「千早振る」。
以前から“小道流演出にするんだ”と伺っていたけど初実見。「御隠居」を「威勢だけはいい兄ィ」に置き換えて、テンポの心地よさで引っ張る演出、見事! 「オレ本が書けないんだよね〜」なんておっしゃいますが、な〜に、ご謙遜を! 創作現代モノ「ピンク・レシート」、完成が楽しみです。
さて、ワタクシ。
今席「目黒の蛸薬師」をネタ出ししていたけれど……お客さま+出演者の顔触れを拝見するに「蛸薬師を聴いたことのある人」の方が「今回のAOZ寄席で掛けるつもりの“ワタクシ初の純創作”を二度と聴けない人」のほうが、どう見ても多い……。
悩みつつ、高座から「明日またAOZに、来てくれるかな〜?」と、尋いちゃった。
……結果、もともとは今日初披露させていただくつもりだった噺を出させていただきました。今宵、同じ噺を聴かされるかたには、ホント、申し訳ありませんが……。
この噺のサゲ、口から言葉を発するだけじゃなくて、手で数を示す演出にしているのだけど……午前の「時そば」のサゲで、それが思わず出ちゃったのですね。
しかしなぁ……今作は、消費期限が短かすぎるのと、演れる場所、お客さまを限定しちゃうのが、既に見えてるんだよね。
よく保って年内一杯。明日で恐らく、生涯最後。
演目名も、もう一工夫したかった。これじゃあサゲが判っちゃう。でも、構想が緒についた早い段階で、席亭・すゞめ姐さんに演目メールしちゃったもんなぁ……。急いては事をし損ずる……後悔先に立たず……。
客席左奥にいらしてたツイ輝兄さん、いかにも気持ちよさそうに、舟漕いでたし(そういうところだけはメガネ無しでも、なぜかハッキリ見えちゃうのですよ……)。
ともあれ、昨日お付き合いくださったたくさんの皆様に、感謝!
今日も尚、一所懸命、つとめますです。よろしくお付き合いくださいませ!
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