なんて云うと、いかにも親しげだけど。
あの、元総理。
政界から去って、もうずいぶん経つはずだ。
今は“陶芸家”をしていらっしゃるらしい。風流なお殿様である。
土いじりで安らかに暮らしていたお殿様。近頃、近辺がかまびすしい。
総理経験者の後輩、かの“変人”氏に「トーキョー都知事選に出ろ、出ろ」と、ずいぶん焚き付けられていらっしゃるらしい。
ホソカワさんとワタクシ。
極めて細くて薄いけれど、縁がなくもない。もちろん顔を合わせたり、言葉を交わしたことなどないけれど。
ワタクシが就職した、ちょうど25年前。ホソカワさんは、熊本県知事だった。
当時、知事の頭を悩ませていた問題のひとつは「熊本県の米が売れない」こと。
熊本県は、上手に作れば、米の二期作ができる。しかし全く人気がない。恐らく大量の過剰在庫に苦しんでいたのだろう。
そこへ話を持ちかけたのが、当時ワタクシがいた「日本一の米販売商社」を標榜していた会社の常務。
「ご飯用の白米だけが販路ではありません。日本人の食生活は大幅に変化し、冷凍冷蔵庫も普及し、チャーハンやピラフといった加工食品が飛躍的な伸びを示しています。このような需要に応じた米にシフトしてみては?」
ホソカワさんは、これに乗った。商品開発が始まる。
熊本県で開発された、ジャポニカ米とインディカ米の合の子「ホシユタカ」なる品種の米が、わが社に供給され、ワタクシ始め社員一同、毎日の如く“試食”したものだ。
食糧管理法の廃止も決まり、事業は順調に進むと思われた矢先。
あの「平成4年の大不作」が、襲った……
その前年、すでにワタクシはそこを退職していたけれど……
本来、拡販が至上命題のはずの営業マンたちは、お客様に取引停止を懇願して廻ったそうだ。さらに、市中で奪い合いになっていた米の買い出しまでしたという。懸命に買い出ししても、翌日の納品数量にはとても間に合わず、日暮れの度に溜め息ばかり、という毎日だったと聞いている。
さらに悪いことに、この時日本中に「インディカ米は美味くない」という感覚が蔓延してしまった。調理法ひとつでとても美味しくいただける、天の恵みなのに。
当然「ホシユタカ・魅力ある商品開発」は、雲散霧消してしまった。
ワタクシが最初に就職したその会社も、今はない。
数年前に訪ねてみたら、跡地には洒落たマンションが建っていた。ワタクシが独り暮らしを始めた木造の貸家は、傾きもせずに姿をとどめていたのに……
四半世紀前に、夢と潰えた企画だけれど、今だから、これを復活させてはどうだろう。
イメージキャラクターには、今をときめく「クマもん」に就いてもらい、メーカーには、起死回生を賭けるアクリフーズさん。
ホシユタカとアクリフーズさんには、ぜひ、踏ん張ってほしいなぁと、ホソカワさんのニュースを見聞きする度に、想うのでありました。
フレー、フレー!!
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