14年前の、お盆休み
悪友Iくん夫妻と、佐渡島へキャンプに行った。
本土へ帰り上陸して、クルマは一路山形へ。
Iくんが「ついでだから(?)山形の親戚宅を訪ねたい」と言うので。
ただワタクシは、仕事の都合もあるし、どこか適当な鉄道の駅で降ろしてほしいと申し出た。
彼がワタクシを送り届けてくれたのは、米坂線の羽前小松駅である。
黄昏時にかかろうかという頃合い。ホワイトに紫紺と深紅の帯をまとったキハ58の2両編成は、稲穂がまだまっすぐに天を指している田んぼに、エンジンの爆音をふりまきながら、2台積んだDMH17のパワーをもて余し気味に、置賜盆地の縁を縫うようにして、終着駅・米沢へ向かい、小気味良いジョイント音を刻む。
車両にクーラーはついているが、この編成だと電源を供給できないから、お盆でも窓は全開だ。
蒸れた草いきれをいっぱいに吸い込んで、夕まぐれの米沢駅に着いた。
ここで“山形新幹線・つばさ号”に乗り換えるのだが……
着いてびっくり。先程改札を通った羽前小松駅とあんまり変わらないじゃん。ホントにここへ新幹線の電車、来るのかな……
もちろん杞憂だった。
目当ての“つばさ”は、ちゃんと定刻に到着、出発。
名物「峠の力餅」の車内販売が回って来たのを覚えている。
それにしても、車内空間は狭いし、ちっともスピードが出ない。板谷峠の難所をソロリソロリ、おっかなびっくり下る風情である。
“福島到着”のアナウンスがあって間もなく、“つばさ”は、右に急カーブを切りながら、福島の、美しく、いとおしい夜景を眼下に臨む新幹線ホームに、滑り込んだ。
“やまびこ”と連結し、何人かの乗客の出入りが済み、福島を後に……
ギュオ〜ン、ギュオ〜ンと急加速した“つばさ”は、あっという間に“スココ〜ン、スココ〜ン”と疾走する「新幹線」へと見事な変身を見せてくれたのである。
“つばさ”がその表情を豹変させる、この街福島に将来暮らすことになろうとは……。
さらには「長閑な駅」の印象しか、その時には感じられなかった米沢に、とても刺激的な“将来の友人たち”が居ようとは……。
とても偶然とは片付けられない何かがあるように、ワタクシは、思うのです。
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