この春の、JR東日本ダイヤ改正の目玉は“上野東京ライン”復活開業。
上野〜東京間の在来線の“汽車線”が廃止されて久しいが……30年を経て、見事復活を遂げるのだ。
コレは本当に涙ぐましい小さな工夫の積み重ねの成果だ。
もし、山手線、京浜東北線で、東京〜上野間を通る機会があるなら、スマホなんか弄ってないで、車窓を眺めてみてほしい。
今、山手線内回りと京浜東北線北行が発着しているホームは、かつての中央線ホームだ。東北・上越・北陸新幹線を東京駅から発車させるスペース確保とともに、あの煉瓦造りの丸の内駅舎を保存するために、線路は二階建てに改築された。
ギリギリ三複線のスペースしかない、東京〜神田間。地下深い上野駅ホームへ急勾配で下る新幹線の線路の上空に、思いの外華奢な造りの在来線の高架橋が、被さる。
秋葉原。
山手・京浜東北線と総武線の交差だけでもワクワクする駅の造り……今や、東に降りれば、地下に筑波エキスプレスの駅もあるし、ヤッチャバ跡にはシースルーの、オシャレなビルが建っている。
北日本とトーキョーの、玄関口だった、上野駅。
今はまだターミナルの雰囲気を湛えているけど、あと何年か経つと“両国駅”のようになってしまうんだろうな……
閑話休題。
“仙石東北ライン”である。
仙石線と東北本線、昔から線路が近接してた所があった。
成立の経緯もあって、それを結ぼうなんて話は聞いたことがなかったんだけど……
恐らく“東日本大震災”がきっかけで、急に実現する運びになった。
ただ、大きな障害があって……
仙石線は、直流1,500V電化。
東北本線は、交流20,000V電化。
電車で直通させるとなると、高価な“交直流両用車”が、必要だ。
ところが、哀しいかなこの区間、そんなプレミアムな電車を投入してペイできるような、輸送需要は……ない。
電化方式にとらわれない鉄道車両にディーゼルカーがあるけれど……昔よりかなり俊足にはなったとはいえ、電車にはとても及ばない。
そこで注目されたのが、内燃機関と電気モーターを並装する“ハイブリッド車”。
仙石東北ラインで、都市間輸送鉄道としては、恐らく世界で初めての“ハイブリッド車”がデビューする。
HB-210という車両だ。
将来の鉄道車両のひとつの試金石になるものだと、ワタクシは思った。
そういえば、同じく仙台近郊の仙山線が、我が国の鉄道交流電化、始まりの路線である。
今度のHBも、恐らくテストケースとしての導入なのだろうが、ぜひ、後世のために、さまざまな成果を残してほしいと思う。
ところで……
この“HB-210”……
車体はほとんど、E721、そのままだ。
ちょっと涙が出そうになった。
常磐線の新地駅で、津波に呑まれて横倒しになってたE721……
現車は確か、その場で解体の憂き目になったと記憶しているが……
新しい使命を受けて、新たな命を吹き込まれて、生き返って来たんだな、きっと。
春になったら、乗りに行こう。
そして……新装・女川駅を訪れて“ゆぽっぽ”のお風呂に浸かって来よう。
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