鳥の会話
朝早くに、鳥たちが、朗らかに囀ずる季節になってきた。
それを聞いていると“コトバ”は人間だけのものとは、とても思いもよらない。空を飛びながら、電線に留まりながら、きっと何か、会話をしているに違いない。
昨日は某所に一日、立っていたのだが、鳥たちが、いとも楽しげにしゃべっていた。
燕は、スイスイと空を駆けまわる合間に、器用に人家の壁につかまって、巣を掛けるのに適当な場所を探してる。かと思うと、4〜5羽で連れ立って、情報交換の会話を交わしながら飛び回る。そのうち、ひとりで電線に佇んで「どこがいいかな〜? グジュグジュ、グジュグジュ」と、悩んでいる。
烏は能天気だ。“カァ、カァ”時には“クワオン、クワオン”なんて云いながら、目についた面白そうな物をくわえて、遊んでいる。
姿は全く見えないが、どこか高いところで自己主張しているのは、ウグイスだ。
「チョットコイ、ちょっと来い」と、ベターハーフを誘うコジュケイもいれば……
ウグイスと同じく、姿は全く見えないのに、一時間から二時間に一度だけ、ビックリするようなバカな大声で「クェッ、食え!」と可笑しな奇声を上げるのがいる。この声は去年の春、立子山でも散々耳にしたのだが、未だに正体が判らない。
昨日の朝イチ。
目の前の、電柱に張られた、斜めのワイヤーに、雀が六羽留まって、しゃべっていた。
「いやぁ、昨日、暖かくて気持ちが良かったからさ、ちょっと遠出して、郡山に行ってきたよ」
「おやまぁ、それはご苦労様。でも、郡山に、何しに行ったの?」
「新幹線の架線に掴まりに、さ!!」
「え〜! だめだよ〜、アソコには二万五千ボルトの電気が流れてるんだぜ。そんなのに掴まったら、一瞬で黒焦げ、お陀仏じゃん!?」
「ハハハ、そこが素人の浅はかさよ!! 気持ちいいんだよ、あれ」
「どこが?」
「なんか、そこはかとなくね、50ヘルツの波動がくるからさ」
「んだったら、わざわざ郡山なんかに行かなくってもさ、福島でもいいんじゃない?」
「ダメダメ。だって福島はほら、山形新幹線と直に繋がってるじゃない? だからあそこは、フルに二万五千ボルトのインパクトがないんだよね!! やっぱ、郡山まで行かないと」
「で、どうだった?」
「(少し眉間に皺を寄せて)それがさ、どうもイマイチだったんだよね〜。なんか、いつもみたいに、波動がビンビン来なかったのさ」
「そりゃ残念!!」
「ただ、ついこないだ、トーキョー都心で、何かあったらしいじゃん……ま、オイラは雀だから、べつに関係ないんだけどね」
在来線も、今さらながら、大切なんだなぁと気付かされた、今回の事件でした。
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