ふくしま素人落語の会で、ワタクシは演者の一人であるとともに“いづみ家小染”社中メンバーとして、お囃子の担当をしている。
社中の大黒柱、小染姐さんが不都合のときは、大方ワタクシがCDの支度をして持参する。既成の音源があれば仕事は単純だけれど、中には好みの楽曲を出囃子にしたい、という方も。そういうときは、手持ちの器材を活用して、希望の楽曲を「出囃子」っぽくアレンジすることも。
小染姐さんの「生三味線」が一番なのはいうまでもないけれど……、ワタクシの「ヘナチョコ電子合成出囃子」も、我ながらよくやるよ、と思う。
ワタクシの若かりし頃……。周りに三味線やってる人なんぞなく、今のように便利なマシンもない。出囃子はどうしていたか。
とり蓄めた落語の「エアチェック」のテープから、アナウンサーと演者の声がかぶっていないものを選んで、ダビングして使った。その出囃子セレクション・スペシャルテープがうちにあってもおかしくないのだが……どうやら高校の落研のロッカーに置き去りにしてきてしまったらしく、いくら探しても、見つからない。
落語から遠ざかって約10年経って「DTM(デスク・トップ・ミュージック)」に出会った。毎晩マシンに向かって「あ〜でもない、こ〜でもない」と楽曲データをいじって、夜を明かした。幼い頃に馴染んだピアノ練習曲から始めて、クラシックの管弦楽、自分のオリジナル作曲のアレンジ……、様々手掛けたけれど、パソコンを使う仕事に就いたとたんに、すっかり放り出しちゃった。
福島へ来て、しばらく、パソコンに振り回される仕事から解放された。こっちがパソコンを「道具」として使う余裕が生まれた。そうなったら、やっぱり昔やりたかったことがアタマをもたげてくる。
福島に来て初めて打ち込みした音楽は……「片しゃぎり」(笑)。
かつて自分がやりたかった「寄席芸」と「音楽(DTM)」が、がっちりタッグを組んじゃった。
自分用の「青山ほとり(大根踊り)」「東京音頭」も含めて、組んだ曲は両手を越える。当地の素人芸人長老の出囃子、市販のCDにないプロの噺家さんの出囃子もある。
自慢はさておき、噺家さんの「出囃子」。前座のときは個人で決まった曲はなくて、前座から二つ目になるとき、寄席のお囃子のお姐さんが、芸風を観て、ふさわしい選曲をしてくださるそうだ。
我々はアマチュアだから、そんなことはなく、自らの好みで選ぶ(生三味線だと姐さんの意向にもよる)。
ところが、周りが選ぶ曲と、本人の選曲が合致しないことがしばしばある。
大体がワタクシからしてそうで、自分では「青山ほとり(大根踊り)」にしたかったのだけど「落語が縁で東京から福島へ移住してきたヘンなヤツ」という要素プラス誰にも馴染みのある楽曲ということで、定番は「東京音頭」だ。
この所、福島以外から客演いただく機会が増えたが、なかなかリサーチがままならない。それで、こちらで勝手にふさわしそうかな?と思われるものを支度するのだが、ご当人が普段ご使用の曲に合致することはまず、ない。
難しいなぁ……、それとも選曲するワタクシのセンスがないのかしら?
それは、それとして……。周りから選んでもらった出囃子で、成長・変化することがあるかもしれない。逆に、自ら選んだ出囃子で、さらに自分を押し出して行くことができるような気もする。
すごく贅沢だけど、ワタクシ当面、3曲を使い分けるつもり。
1・会のメインイベント(麓寄席、AOZなど)=東京音頭
2・出前で“CD出囃子”=青山ほとり
3・福島県外単独出張=飯坂小唄
プロのお囃子のお姐さんだったら……ワタクシにどんな曲をつけてくださるのかな? うかがってみたい気がする。
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